スターリング・ノース「はるかなるわがラスカル」(T.C.)

最近WOWOWで放送し始めたアニメ『あらいぐまラスカル』を、一話から録画して観ています。懐かしいと思われる方がいるかもしれませんね^_^ 

実はこの作品に原作があるとは思いませんでした。

著者は、作家・編集者であるトーマス・スターリング・ノース。シカゴ・ディリー・ニュース社の文芸部編集長、ニューヨーク・ポスト誌の文芸部編集長を勤める傍ら、小説や絵本を執筆していました。また、ヘンリー・デイヴィッド・ソローやマーク・トウェインといった人物の青少年向けの伝記にも携わっていました。

1963年に少年時代の思い出を綴った回想録『はるかなるわがラスカル(Rascal)』を出版して数々の賞を受賞したベストセラーになりました。

本書では、森の生活とラスカルとの友情をメインにしながらも、環境問題を散りばめつつ、1918年〜1919年当時のアメリカの社会情勢にも触れていて、なかなか興味深いものがあります。

父親の車が名車T型フォードだったり、第一次大戦に出征している兄の手紙が挿入されたり、たまたま通りかかった白人マネジャーと共に巡業をしている黒人ボクサー(向かうところ敵なし、立派な身なりでまさに映画『グリーンブック』みたいですが、主人公に人種差別問題を伝えている)との触れ合いなどが語られています。 

しかも、主人公スターリングの飼っている?カラスの名前がポーだったりして、原作者が元々文芸部の編集者だったせいか、興味深いです。 100年前の話なのに現在にも通じるものがあります。 

 (慶友会メンバー T.C.)

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